スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
[ --/--/-- --:-- ] スポンサー広告 | TB(-) | CM(-)

「バフチサライの泉」~その2

涙の泉
プロローグ:ギレイ汗の宮殿。“涙の泉”のほとりで悲しむギレイ汗。

第1幕:ポトツキー城内の前庭。

マリアの誕生日の舞踏会。タタールの密偵が忍びこみ、突然その軍勢が襲いかかり、伯は隊長ヌラリに、ヴァーツラフはギレイ汗に殺され、マリヤはギレイ汗に捕われ、城は炎に包まれる。

第2幕:ハーレムの大広間。
ハーレムでの情景では、第二夫人“褐色の女”も含め、囲われ女たちが美を競ってワルツを踊り、ギレイ汗最愛の美女ザレムに嫉妬の眼が向けられる。タタール軍が凱旋し、召使に伴われたマリアが、亡き恋人の竪琴を抱き入ってくる。丁重に迎える汗の心は、すでに彼女に移っていた。3人の女奴隷が次々と踊りを披露し、汗の心を和らげる。フィナーレではザレマは汗にそっ気なくされ、嘆き倒れる。

第3幕:マリアの寝室。
マリヤが故郷を偲び竪琴を弾いている。ギレイが訪れるが、想いをとげられず去ってゆく。ザレマはマリアに「ギレイを返して」と哀願するが、ギレイが残していった帽子を見て逆上し、駆けつけたギレイの眼前で、マリアを刺し殺す。ザレマを成敗しようと、恐ろしい形相で二度三度空しく剣を振り上げるギレイ。

第4幕:断崖を見下ろす刑場の広場。
覇気を失い悲しみに沈むギレイ。ザレマが引き出され谷間に落とされる。マリヤの父を殺した親衛隊長ヌラリは、落胆している主君を元気づけようと、兵士たちに勇壮な“騎士たちの踊り”を披露させるが、ギレイの心は晴れない。
エピローグ。再び“涙の泉”のほとりで嘆くギレイ。白いベールをかぶったマリヤとザレマの幻影が、現れては消えてゆく。

楽曲解説

スコア1
プロローグ:
序曲。ロマンス=パ・ド・ドゥ:ハープ伴奏ヴァイオリン・ソロ(譜例1)に、ホルン、ファゴット、ヴィオラなどが、次々と対旋律をつけてゆく。この旋律はエピローグでも再現される。

第1幕:
ワルツ=マリヤと婚約者ヴァーツラフ子爵のパ・ド・ドゥ(譜例2-1)。主題はクラリネットとフルートの対話にはじまり、トリオ(譜例2-2)では弦が主体となる。
ティンパニ連打についで、やや長めの情景(譜例3)が、オーボエ、ファゴット、クラリネットと木管で奏でられる。この短縮型は「全員の踊り」の前奏にも引用されている。
ポロネーズ(譜例4)ではトランペットが高らかに吹き鳴らされる。
フルート・ソロの前奏に次ぎ、全員の踊り(譜例5)となる。これはシンコペーション主題が、トランペットや打楽器を加えた力強く奏でられる。2つのヴァリエーション。
情景(譜例5)の主題は、すぐあとの「ノクターン」にも引用されている。
マリアおよびヴァーツラフのヴァリエーション。情景。
ノクターン(マリアとヴァーツラフ)。
ティンパニを交えた力強いマズルカ主題(譜例7-1)に、優美なトリオ主題(譜例7-2)が間に入る。
フィナーレは、オーボエ~ファゴット~クラリネットの独奏に次いで、ティンパニのトレモロで前奏が終り、1、全員の踊りとなる(譜例8-1)となる。2タタールの襲来(譜例8-2)は、小太鼓、タンバリン、シンバルなど打楽器を豊富に用いたトゥッティの活気あるもの。3逃走(譜例8-3)では、マリア、ヴァーツラに次いでギレイも登場する。


スコア2
第2幕:
間奏曲。情景(譜例9)は弦の波に乗った延々と続く軽快なワルツ。ギレイの行進曲。ザレマの踊り(譜例10)。マリアの登場(譜例11)。
奴隷たちの踊り(譜例12―1~3):1曲目はハープの伴奏の上で、木管~弦の下降主題が、シロフォンやグロッケンシュピールで鳴らされる。2,3曲目では、スタッカート伴奏に乗るリズミカルなもの。ザレマの踊りと情景。
フィナーレ=ザレマとギレイ(譜例13):独奏ヴァイオリンがラプソディックな音型を奏で、途中トゥッティで力強くなり、第1トリオにはプロコフィエフを思わす旋律が出、第2トリオは曖昧模糊としたもの。全体の構成はABACBDA。


スコア3
第3幕:
間奏曲は「涙と度重なる災いの代りに、人には天国を与え・・」にはじまる、プーシキンの詩によるタタールの歌(譜例14)。マリアの情景(譜例15)。
マリアとギレイの情景。マリアのエレジー(譜例16)。
マリアとザレマの情景、のちにギレイ(譜例18 -1):無伴奏チェロ独奏がしばらく続き、途中からホ長調12/ 8拍子となって、ピアノ伴奏が入ってややテンポを速め、テンポがもとに戻ると旋律がイ長調のヴァイオリンに移り(譜例18 -2)、また主題がチェロに戻り、トゥッティでテンポを速め高揚するが、ヴァイオリンとチェロのみの二重奏を経てコーダではオーケストラが余韻を奏でる。

スコア4
第4幕:
情景では遠くからチェロ独奏が聞こえ、これにヴァイオリン独奏が応える(譜例19-1)。アンダンテとなって小太鼓、タンバリンの不規則なリズムに乗り、舞曲が奏でられ(譜例19-2)、奴隷たちがワルツを踊る、ザレマの処刑の情景となる(譜例20)。
(譜例8-2)の勇壮な前奏に次ぎ、激しい騎士たちの踊りとなる(譜例21)。これに歌うようなギレイの情景が続く(譜例22)。

エピローグ:
本来ここではプーシキンの詩「・・愛の泉、生命の泉よ!私は君に二輪のバラを持ってきた・・・」が、テノールで歌われるはずだったが、今日ではハープ伴奏の弦楽合奏が4/4拍子の叙情的な旋律を奏でる。この旋律はA・L・リュヴォヴィツ(1803~58)収集のロシア民謡集からの引用と思われる。
スポンサーサイト
[ 2008/12/07 12:55 ] 音楽解説(一般) | TB(-) | CM(-)



上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。