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スークの組曲「おとぎ話」作品16

詩人ゼイエル(1841~1901)は1897年、スロヴァキア古代民話にもとづく劇「ラドゥースとマフレナ」を仕上げると、付随音楽を弱冠22歳のスーク(1874~1935)に依頼した。スークは1897年9月19日から作曲にかかり、ボヘミア弦楽四重奏団第2ヴァイオリン奏者としての国外巡演をこなしながら、翌1898 年3月19日に委嘱作品を完成した(1907年と1912年に再校)。初演は直後の4月6日プラハ国民劇場で、A・チェフ指揮、J・サイフェルト演出、F・マチェヨフスキーとH・クヴァピロヴァーを主役に行われ絶賛を博した。ここには恩師ドヴォジャークの影響が色濃く反映されており、彼は7ヶ月後の11月17日に愛娘オティリエ(1878~1905)と結婚する。

原曲「ラドゥースとマフレナへの附随音楽」作品13は、“おとぎ話”の化身たる乙女の前口上ではじまるプロローグと4幕からなり、語り部分がほぼ半分を占め、音楽を伴う語り=メロドラマ、舞曲、各幕への前奏曲、2,3幕の間奏曲(場面転換)、アリア、合唱などを含み、演奏時間は約150分である。

しかし再演の見込みが余りないと悟ったスークは、翌1899年8月2日から1900年6月9日にかけ、南ボヘミアの生地クシェチョヴィツェ村で、4曲からなる組曲「おとぎ話Pohádka」作品16を完成した。初演は1901年2月7日ルドルフィヌム会館で、O・ネドバル(1874~1930)指揮するチェコ・フィルにより行われた。

「狩に出たマグラ国の王子ラドゥースは、森中で聖なる白鹿を射止めるが、宿敵たるタトラ国に迷いこみ、捕われて山頂の岩に鎖で繋がれる。この国の姫マフレナはラドゥースに同情し、母妃ルナの追跡を振り切り、二人でマグラ国へ逃げる。そこでは父王が崩御したばかりで、ルナの呪いによりラドゥースはマフレナを忘れてしまう。傷心のマフレナはポプラの樹に変身し、ラドゥースはその木陰でのみ憩いを感ずる。不安になったラドゥースの母妃ニョラがポプラを切り倒すと血が流れ出し、とたんに呪いが解けてラドゥースの記憶はよみがえり、二人は目出度く結ばれる。」

1.ラドゥースとマフレナの誠の愛と苦難:アダージオ・マ・ノン・トロッポ、4/4拍子、三部形式。チェロと低音木管の奏でるラドゥース主題(ハ長調)についで、きわめて叙情的なマフレナ主題(ホ長調)が、ハープのアルペッジョを伴う高音ソロ・ヴァイオリンに現われ、延々と展開されてゆく(注1プロローグの引用)。

中間部ではヴィオラとティンパニのトレモロの上で、ホルンが増4度音程を伴う不気味なC-Fis-Gis-D音型を何度も吹き鳴らす(3幕終り父王の訃報)。

2.白鳥と孔雀の戯れ:ア・ラ・ポルカ、ニ長調、2/4拍子。クラリネットではじまるポルカ主題は、第1幕の舞台裏でラドゥースが捕われたのも知らず、マフレナ三姉妹ら若い男女が、陽気に踊り戯れる合唱の旋律によっており、シンバル、トライアングルなどの打楽器が活躍する。トリオでは樵夫の歌う「三姉妹がいて一人は・・・」が、ファゴットで奏でられ、弦が対旋律をつける。

3.葬送の音楽:アンダンテ・ソステヌート。第4幕冒頭でラドゥースの父王を悼む陰鬱な合唱曲の旋律(嬰ハ短調~ホ長調、3/4拍子)と、木管による第3幕の葬送行進曲(嬰ト短調、4/4拍子)が、交互に引用されている。中間部ではティンパニが打ち鳴らされトゥッティで高揚する。

4.ルナ王妃の呪いと愛の勝利:アレグロ・アパショナート。第2幕間奏曲によるホ短調、3/2拍子の呪いのトゥッティ主題は、2,3拍目が強調される荒々しいもので、打楽器が轟き金管が咆哮する。ついで木管と弦主体の静かな変ロ長調、2/2拍子の中間部(ラドゥース主題の変形)となる。この2つの主題による展開が行われ、最後には叙情的なマフレナ主題が力強く回帰し、愛の賛歌へと向かってゆく。

注1:スークのオティリエへの愛の告白でもある「プロローグ」を、作曲者自身(ピアノ連弾伴奏1901年)と、孫のスーク(ピアノ伴奏1953年)が、ヴァイオリン独奏用に編曲している。


原曲「ラドゥースとマフレナ」への附随音楽, 作品13
(マグラ国)王~妃ニョラ / 王子ラドゥース / 従者ラドヴィト / 樵夫ヴラトコ
(タトラ国)王ストイミール / 妃ルナ / 王女マフレナ / 従者プシビナ

「狩に出たマグラ国の王子ラドゥースは、森中で聖なる白鹿を射止めるが、宿敵たるタトラ王国に迷いこみ、捕われて山頂の岩に鎖で繋がれる。この国の姫マフレナはラドゥースに同情し、母妃ルナの追跡を振り切り、二人でマグラ国へ逃げる。そこでは父王が崩御したばかりで、ルナの呪いによりラドゥースはマフレナを忘れてしまう。傷心のマフレナはポプラの樹に変身し、ラドゥースはその木陰でのみ安息を感ずる。不安になった母妃ニョラがポプラを切り倒すと、血が流れ出す。とたんに呪いが解けてラドゥースの記憶がよもがえり、二人は目出度く結ばれる」。

第1幕:森中で聖なる白鹿を射殺した王子ラドゥースは、従者ラドヴィトと共に、宿敵のタトラ王国に迷いこむ。マグラ国への道案内を買って出た樵夫ヴラトコは、王子から返礼に父王の肖像のついた金貨を貰う。タトラ国のストイミール王と妃ルナや従者は、聖なる鹿が殺されたことを怒り、ラドゥスを捕えて塔の中に幽閉する。従者ラドヴィトは解放され、マグラ国に悲報を伝えに走る。事情を知らぬタトラの姫マフレナは、ラドゥースに同情する。

第2幕:ラドゥースが山頂の岩に鎖で繋がれているベルトの鍵を、樵夫ヴラトコがマフレナに渡す。母の妃ルナはラドゥースを亡き者にせんと、彼に飲物を持ってゆくよう娘に命ずる。

場面転換:マフレナはこれが毒薬と見抜き、ラドゥースの足枷を外し、互いの愛を告白する。ラドゥースは追ってきたルナの髪の毛を木に縛りつける。ルナは「ラドゥースが他の女にキスした瞬間に、マフレナを忘れる」という呪いをかける。

第3幕:二人の恋人がマグラ王国にたどり着いた時、父王の死が伝えられる。ラドゥースはマフレナを後に残し、駆けつける。

場面転換:葬送の行列の中、母妃はラドゥースにキスした途端に、呪い通り彼はマフレナのことが解らなくなる。悲しみに暮れるマフレナは、平穏を願いポプラの樹になってしまう。

第4幕:未亡人となった妃ニョラは、傷心のラドゥースを慰めようと、祝宴を催すが彼の気は晴れず、ポプラの木陰のみで安息を感ずる。そこでニョラはポプラを切り倒す。ラドゥースは血を流すポプラを抱くと、呪いが解けて彼の記憶はよみがえり、二人は目出度く結ばれる。

プロローグ(約8分)
詩人ゼイエル(1841~1901)は1897年に、スロヴァキア古代民話にもとづくこの作品を仕上げると、付随音楽を弱冠22歳のスークに依頼した。スークは1897年9月19日から作曲にかかり、ボヘミア弦楽四重奏団第2ヴァイオリン奏者としての国外巡演をこなしながら、翌1898 年3月19日に完成、その秋にドヴォジャークの愛娘オティリエ(1878~1905)と結婚する。

音楽はプロローグと4幕からなり、語り部分が半分近くを占め、音楽を伴う語り(メロドラマ)、舞曲、各幕への前奏曲、間奏曲、アリア、合唱などを含む(約150分)。初演は1898年4月6日、A・チェフ(1841~1903)指揮、J・サイフェルト(1846~1919)演出、二人の主役をF・マチェヨフスキー(?~?)、H・クヴァピロヴァー(1860~1901)によりプラハ国民劇場で行われた。しかし将来の上演の見込みが余りないと悟ったスークは、1900年に4曲からなる組曲「Pohádkaお伽話」を作った(再校は1912年)。

「プロローグ」は1901年(作曲者自身によるピアノ連弾伴奏)と、1953年(孫のスークによるピアノ伴奏)に、ヴァイオリン独奏用に編曲されている。

叙情的な高音ヴァイオリンの調べ(アダージオ・マ・ノン・トロッポ)は、スークのオティリエへの愛の告白ともいえる。プロローグ(11分)で「お伽話」の化身たる乙女は、前口上(うち5分)を述べ、物語がはじまる。
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[ 2010/10/31 14:36 ] 音楽解説(チェコ音楽) | TB(-) | CM(-)



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