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オペレッタ「放浪の王者」と「蒲田行進曲」

フリムル
プラハ生れの作曲家フリムル Rudolf Friml(1879~1972)は、10歳でピアノ曲を書き、プラハ音楽院でドヴォジャークに学んだが、1901年に放校された。1899年からプラハ国民劇場バレエ団のコレペティトゥールとなり、名ヴァイオリニスト、ヤン・クベリーク(1880~1940, 指揮者ラファエルの父)の伴奏者を9年間勤め、1901/ 02年アメリカへ演奏旅行。1906年から新世界に定住、メトロポリタン・オペラのコレペティトゥールとなった。
その後オペレッタの作曲に専念し、「蛍」(1912年)、「ローズマリー」(24年)「放浪の王者」(25年)、「三銃士」(28年)で大成功を収めたが、次第に人気も下降線をたどり、34年にはニューヨークからハリウッドへ移り、それまでの自身のベストセラー映画音楽の校訂にあたり、もちろんピアノ小曲や室内楽曲も多数作っていた。
プラハの解放劇場で活躍していたが、ナチスの迫害を恐れ1940年代はじめアメリカに亡命してきた、同国人作曲家イェジェク (1906~42)が、彼に援助を求めてきたが断った。イェジェクはその直後、肺結核で他界した。フルムルは晩年の1964年に、若い中国人妻を伴ってプラハを訪れ、ルツェルナ・ホールでピアノ・リサイタルを開いた(スプラフォン・レコードに収録)。



「放浪の王者The Bagabond King」の主人公は、中世の詩人にして剣豪ヴィヨンFran醇Mois Villon(1431~ca.62)。原作はJ・H・マッカーシの戯曲「我もし王者なりせば」で、美しいが横柄な宮廷貴婦人カトリーヌ・ド・ヴォーセイユ(キャサリン)を辱めるため、ルイ十一世が、ヴィヨンを1日だけ王位につけ、24時間以内に彼女と恋に落ちなければ、斬首すると脅す。しかし彼に好意を寄せている娼婦ユゲットの助けで、ヴィヨンは試練に打ち勝つ。
台本はB・フーカーとW・P・ポストで、1925年9月21日からブロードウェイのカジノ劇場で初演され、2年間に511回も続演された。1930年にはパラマウント社で映画化された(1956年にも2回)。
日本でも公開された折、「浮浪者たちの歌」を、松竹が活動拠点、蒲田の宣伝用に「蒲田行進曲」と銘打って流し大ヒットした(岡俊雄解説)。戦後NHKラジオ第2放送の ”ミュジカル・アワー” のテーマソングとして使われ、1982年の邦画「蒲田行進曲」も話題になった。この曲は現在、JR蒲田駅のコールサインにも使われている。
「舞台は1461年、ブルガンティ侯の軍隊に占領されたパリ。無法のお尋ね者ヴィヨンは、愛人ユゲットのいる酒場で、無頼漢たちと自由を謳歌している。ある日、彼は貴族の娘キャサリンに心ひかれる。民衆の声を聞くためお忍びで酒場へ来ていたルイ十一世は、パリを救えるのはヴィヨン以外にないと確信し、いやなら絞首刑だと脅し、警視総監の後任に据える。ブルガンディ軍の総攻撃がはじまるが、ヴィヨンは無頼の徒を率い、奇策を用いて敵を撃退する。この戦いのさ中に重傷を負ったユゲットは、ヴィヨンとキャサリンの幸せを願いつつ息絶える」。

登場人物:
詩人ヴィヨン、腹心タバリ、娼婦ユゲット、
宮廷貴婦人キャサリン(カテリーヌ・ド・ヴォーセル)、女官メアリ、
ルイ11世、従臣トリスタンとオリヴァー、獄卒長ノエル、
警視総監タイボルト(ティホ・ドシニ)、副官ルネ、
ブルグンディ侯の使者。

第1幕:15世紀パリの酒場。パリジャンたちが酒場で飲み騒いでいる。ヴィヨンの腹心タバリも加わり「乾杯の歌」と、合唱を伴うユゲットの歌「売物の恋」を歌っている。さらに有名な「浮浪者たちの歌」が、ヴィヨンと仲間により合唱される。酒場の隣の教会から出てきたキャサリンも加わり、「いつの日か」を歌い、キャサリンはヴィヨンと出会い「一輪のバラ」となる。

第2幕:王宮庭園。狩人の一団の合唱。ルイ王は1日だけヴィヨンを王様にする。射手たちの合唱。警視総監(ヴィヨン)は囚人たちを引見、ヴィヨンとキャサリンの二重唱「明日には」が歌われる。ヴィヨンはブルグンディ侯の使者を追い返し、「いつの日か」の歌で幕となる。

第3幕:仮面舞踏会の最中、遠くから歌声「ノクターン」が聞こえてくる。タバリとオリヴァーが女官メアリにセレナードを捧げる。ユゲットのワルツ、キャサリンとヴィヨンの愛の二重唱と続き、ユゲットはヴィヨンを庇い、タイボルトに刺され息絶える。最後に「浮浪者たちの歌」の合唱が勇ましく響く。
第4幕:パリの旧市街。反乱は鎮圧され、教会の外に絞首台、民衆の合唱。王はヴィヨンを処刑しようとするが、キャサリンが身代わりになるときいて諦める。こうして一同が歓喜のうちに幕となる。


楽曲解説:

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第1幕:
序曲(譜例A, B)には、第2幕と第1幕から各1曲(譜例7)と(譜例5)が引用され、その間にハープ伴奏のヴァイオリン・ソロが入る。パリジャンたちの合唱「人生なんて草原の泡みたいなもの」(譜例1-2,3)が歌われるが、1の録音では中間部に、チェコ国歌である望郷の歌「故郷よいずこ」が引用されている。酒場の人気娼婦ユゲットの歌「恋は売物、買うのは自由」(譜例C)についで、ヴィヨンの腹心タバリたちが「乾杯の歌」(譜例2)を歌う。血縁の貴婦人キャサリンを探しに、変装したルイ十一世と従者トリスタンが入ってきて、愛国者のヴィヨンと意気投合、ヴィヨンが獄中で書いたバラッド「浮浪者たちの歌=来たれ、パリの乞食ども」(譜例C-1,2)を皆で合唱する。ヴィヨンは道でかいま見たキャサリンを夢想し、その中で理想の人に会える日を願う「いつの日か」(譜例3)を聞く。彼がタバリにキャサリンへの恋の詩を託すと、ユゲットは嫉妬する。当のキャサリンが現われ「われもし王者なりせば、諸人もろびとに朝貢させん・・・」の作詩者がヴィヨンと知り、腰からバラを抜き取って彼に投げ与え、二重唱「あなたに捧ぐ一輪のバラ」(譜例B)となる。そこへブルガンティ侯と通ずる警視総監タイボルトが副官ルネと現われ、ヴィヨンと決闘するが傷つけられる。ルイ十一世が仲裁に入り、全員が「一輪のバラ」を合唱するうちに幕となる。

フリムル譜例2
第2幕:
王宮庭園。ルイ王はフランスを救うため、占星術者の予言に従い、ヴィヨンを1日だけ王位につける決心をする。ホルンの音を合図に、狩人の一団が近づいてきて、婦人たちと「恋のハンティング」を合唱する(譜例4)。キャサリンと女官メアリが、ヴィヨンの噂をしている。ルイ王はタイボルトを罷免し、後任にモンコルビエ伯爵(実はヴィヨン)を警視総監とする、ただし24時間の期限つきで。それから王様とヴィヨンの駆け引き。新任のヴィヨンに獄卒長ノエルが、囚人名簿を手渡す。腹心タバリは、ようやくヴィヨンに気づき、ともに「浮浪者の歌」を歌う。射手たちが絞首刑のさまを合唱。警視総監(ヴィヨン)は囚人たちを引見するが、中にはヴィヨンのファンである、女囚マゴットやユゲットもいる(バックにC旋律)。彼は獄卒長ノエルに囚人の釈放を言い渡す。そこへトリスタンの先導でキャサリンが現われ、本人と気づかずヴィヨンの命乞いをする。さまざまな、やりとりのあと、ヴィヨンとキャサリンが二重唱「明日には」(譜例5)を歌う。ヴィヨンはブルグンディ侯の使者を追い返して、戦いの意思を示し、全員が彼を讃え、第1幕の「いつの日か」を歌って幕となる。

フリムル譜例2
第3幕:
仮面舞踏会のさ中、遠くから歌声「ノクターン」が聞こえてくる(譜例A)。ともに女官メアリに執心のタバリとオリヴァーがセレナードを歌い、彼女がこれに応える(譜例6)。ユゲットが半音階的に上下するワルツ「恋の花も一日で死に絶える」を歌い(譜例7)、キャサリンとヴィヨンの愛の二重唱(譜例8)が続く。ヴィヨンの身代りとして、タイボルトに刺されたユゲットが、息絶える感動的な場面では、ハープを伴奏にチェロ・ソロが、第1幕の「売物の恋」の旋律を奏で、ヴィヨンは有名な詩句「いずこにかある、去年こぞの雪」をつぶやく。最後に「浮浪者たちの歌」の合唱が勇ましく響く。
第4幕:キャサリンは王に、勇敢なヴィヨンを吊るすなんてひどい、と言い教会へ入ってゆく。そこへ民衆が歌いながら登場(譜例9)、ブルグンディの軍旗を踏みつけ、王はヴィヨンに感謝する。しかし身代りがいない限り、彼を処刑するいうが、キャサリンがやめさせる。こうして一同が歓喜のうちに「一輪のバラ」を合唱し幕となる。

参照:
1 LP(1枚、ハイライト盤):Victor SHP 2243
マリオ・ランツァ(T)、シュティス・ラスキン(S)、
コンスタンティン・カリニコフ楽団と合唱団(イタリア録音)。
2 CD(2枚、全曲盤):
Troy 739, Albany, S. Byess指揮、オハイオ・ライト・オペラ(2004年)
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[ 2008/09/03 12:58 ] 音楽解説(チェコ音楽) | TB(-) | CM(-)



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