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オッフェンバックのオペレッタ「青髭Barbe-Bleue」

青髭(オッフェンバック)
オッフェンバック(1819~80)は、1855年に自前のブッフ・パリジャン座を創設、「地獄のオルフェオ」(1858年作)で一躍有名になり、ヴァリエテ、ルネサンス、ムニュ・プレシール、パレ・ロワイアル、オペラ・コミックなどの劇場に作品を提供し、パリ万国博をはさむ1860年代は(1870~71年フランスが対プロシャ戦争で敗れるまで)、多忙を極めていた。こうした時期の1866年に「青髭」は作曲された。

ペロー原作の「昔話Histoires ou Contes du temps passé」(1697年)をもとに、メイヤック+アレヴィが台本を書いたこのオペレッタは、「美しきエレーヌ」(1864年作)で活躍した、ジョゼ・ドュピュイ(1831~1900、青髭)と、オルタンス・シュナイダー(1833~1920、ブロット)を主役に、1866年2月5日パリ・ヴァリエテ劇場で初演された。とくに堂々たる体格のシュナイダーの好演が光り、1年半に130回も続演された。

その後ギルバート&サリヴァンのオペレッタが人気を集めるまで、1860年代と70年代には、イギリスやアメリカでも上演されていた。1929年にはレオ・スレザークを主役に、1963年にはフェルゼンシュタインの新演出で、いずれもベルリンで上演された。

なおチャプリンの戦争の大虐殺を風刺した映画「ヴェルドゥ氏=殺人狂時代Monsieur Verdoux」(1947年作、銀行を首になった男が、結婚した妻を殺し、保険金をせしめる)も、「青髭」のパロディーと言えよう。

登場人物:
青髭:(T)
青髭に仕える錬金術師ポポラーニ:(B/ Br)
羊飼サフィール(実は王子):(T)
ボベーシュ王:(T)
クレメンティーヌ王妃:(Ms/ A)
花売娘フルーレット(実はヘルミア姫):(S)
長官オスカー伯爵:
廷臣アルバレス侯:
村娘ブロット:(S/ Ms)
書記:
青髭の昔の5人の妻:
(エロイーズ、エレオノーラ、イゾール、ロザリンド、ブランシュ)

あらすじ:
第1幕:村の草地、朝。
羊飼サフィール(実は王子)と花売娘ブルーレット(実は王女)、それに浮気な村娘ブロットが話していると、王様の長官オスカーが、幼いとき姿を消した王女を探しにやってくる。青髭の家来の魔術師ポポラーニも、青髭の次なる妻を探しに余念がない。ブルーレットが王女と分かり、青髭の次なる妻にはブロットが選ばれ、彼らは連れだって宮殿に向かう。

第2幕:
第1場:ボベーシュ王の玉座の間。
今晩サフィール王子とヘルミア姫(ブルーレット)との結婚式が行われることになる。そこへ青髭が6番目の妻ブロットを伴い表敬訪問にやって来る。だがブロットが勝手気ままに振舞うので、立腹した青髭は彼女を強引に連れ去る。
同、第2場:青髭城下のポポラーニの実験室。
青髭はポポラーニに、「今夜ヘルミア姫と結婚するから、ブロットを直ちに毒殺せよ」と命ずる。ブロットは毒を仰ぐが、中身は眠薬でほどなく目覚める。以前の5人の妻たちも、ポポラーニに匿われていたのだ。彼女たちは自由になり、青髭に復讐しようと誓い合う。

第3幕:ボベーシュ王の宮殿、真夜中。
サフィールとフルーレットの結婚式の場へ、青髭が闖入してきて、花嫁をさし出せと迫る。サフィールが青髭に決闘を挑むが倒される。そこへジプシーの一団が入ってきて、占い女がボベーシュ王(彼も、王妃と懇ろだった5人の廷臣を、オスカーに処刑させていた)と青髭の殺人を暴く。
驚いている二人の前で、ジプシーたちが仮装を脱ぎ捨てると、彼らは王と青髭に殺されたはずの男女5組と、ブロットだった。王様と青髭は前非を悔い、5組の男女、息を吹き返したセフィールとフルーレット、それに青髭とブロットとがめでたく結ばれる。


楽曲解説:

オッフェンバック青髭譜例1
第1幕:村の草地、朝。
序曲には、1幕各所から抜粋した、楽しげな旋律(譜例A, B, C, D, E)が使われている。小鳥の囀り(高音木管)のもと、恋仲の羊飼サフィールと花売娘フルーレットが、彼女の小屋の前で甘い二重唱(譜例1)を歌っている。そこへサフィールに惚れている多情な村娘ブロットも来て、「だれもあたしに構ってくれない」(譜例B)と歌う。
ブロットとサフィールが話していると、オスカー伯爵と錬金術師ポポラーニが姿を現す。ボベーシュ王の長官オスカーは、王女を探しに来たのだ。18年前王家に王女が生れたが、3年後に王子が生れたので、彼女はモーゼのよう籠に入れられ、川に流しされてしまった。しかし王子が芳しくないので、捨てた娘を後継者にしようってわけ。籠はこのあたり、青髭の城の前に流れついたらしい。
一方、青髭の命令で、“バラの女王”コンテストをしにやって来たポポラーニは、妖艶なブロットを王女に仕立て上げようとするが、素行が悪いからとオスカーは反対される。
ギャロップのリズムに乗って、村娘たちがコンテストに集まってくる(合唱)。ポポラーニは彼女らのコンテストの開催を、シンバルの伴奏で告げる(譜例2)。籠の中から“バラの女王”の籤をひき当てたのは、予想を裏切りブロットだった(行進曲)! 書記はそれを書類に記す。

その籠がフルーレットのだと聞いたオスカーは、善良なルカス老人に育てられた彼女に、幼い頃の宮殿の記憶もかすかに残っているのを確かめる。では王女様に間違いないと、彼女を輿に乗せ、宮殿に向かう=合唱(譜例A)。ただ彼女はサフィールも一緒に連れてってとせがむ。

入れ違いに、家来たちを従えた青髭が登場、過去の5人や未来の妻について、勿体ぶったアリア「わしは陽気な独りやもめ!」(譜例C, D, E)を歌う。フィナーレで青髭は、“バラの女王”に選ばれた、ルーベンス風の豊満な6番目の妻ブロットを伴い、城での結婚式に向かう。村人たちの合唱、ブロットの肉体を讃える青髭と彼女との軽快なワルツに乗った二重唱、トランペットのファンファーレ。でも青髭の関心はすでに、ちらっと目にしたフルーレットに移っている。最後は急テンポとなり、シンバルが鳴りロッシーニ風の早口「ホップ、ホップ、ラララ!」につぐ、青髭の主題による合唱で幕となる。


オッフェンバック青髭譜例2
第2幕:
第1場:ボベーシュ王の玉座の間。
荘重な序奏(譜例3)の旋律で、オスカーと廷臣たちが「宮廷でのお勤めは辛い」(譜例4)と歌っている(当時のヒット・ソングとなる)。入ってきたボベーシュ王にオスカーは、当日のスケジュールを読み上げる:サフィール王子とヘルミア姫の結婚式、青髭の新妻を伴っての表敬訪問、深夜に及ぶ宴会、舞踏会などなどと。全員が退場するとオスカーは王に、独身の貴公子アルヴァレスを含め5人もが、庭で王妃と逢引きしていると告げる。しかし王の関心は、次々と姿を消した青髭の妻たちにある。

王妃が入って来て、娘は他に好きな男がいるから、今夜の結婚は止めた方がいいと言い、「自分は光り輝く16歳で政略結婚させられてしまった」(譜例5)と優美なアリアを歌い嘆く。フルーレットは結婚したくないと駄々をこね、王が大切にしている、宮殿中の壺を割ってしまう。しかし正装して入ってきた王子が、羊飼のサフィールと知って大喜び、楽しい四重唱となる。王子は狩の最中道に迷い、美しいフルーレットに出会ったが、誠の愛を味おうと羊飼に変装していたのだ(楽しい行進曲)。そこへ飛びこんできてオスカーは、アルヴァレスを処刑したと報告する。

フィナーレ:楽しげな行進曲(譜例6)に合わせ、青髭がブロットを伴い表敬訪問にやってくる。彼は「また妻を娶りましたぞ」(譜例7)と陽気に歌い、ブロットも同じ旋律で後ずけ、合唱が相の手を入れる。

皆はヴァイオリンの甘いグリッサンドを背景に“キスのワルツ”を踊り、青髭はフルーレット姫の美しさに打たれ、7番目の妻にしようと呟く(譜例8)。一方ブロットはサフィールに気づき、王様の代りに彼にキスし、皆に「何でそんなびっくり眼で見るの?」(譜例9)と歌い、その後、王様の頬っペにキスし皆を呆れさせるが、最後は青髭に無理やり連れ去られる。


オッフェンバック青髭譜例3
同、第2場:青髭の城、ポポラーニの地下実験室。
前奏(譜例10)、雷鳴と稲妻の嵐。もう主人の妻を殺すのは御免だ、とつぶやくポポラーニに、青髭は「すぐ効く毒薬を作れ、今夜フルーレット姫と結婚するんだ」という。ポポラーニが姿を消すと青髭は「ここに5人の妻たちが眠っている」(譜例11)と叙情的なアリアを歌う。

ブロットは嵐の中、陰鬱な城に帰らされたと不平たらたら。でも彼女に青髭は「君も死ぬ運命にあるのだ」と言い、彼女は「死にたくない」と泣く。譜例10の旋律を背景に、メロディアスな二重唱が続く。外は嵐。

青髭が出てゆくと、ブロットはポポラーニに渡された毒薬(実は眠り薬)を仰ぎ、ふらつきながらヴィオラ・ソロ伴奏に始まるアリア(譜例12)を歌い失神する。でもポポラーニのかけた電気ショックで意識をとり戻す。情深い彼は、かつての妻たちも同様に眠らせ、地下の墓所にかくまっていたのだ。

フィナーレ:厳かな序奏(譜例13-1)についで、ワルツ(譜例13-2)が低弦で奏でられ、死んだはずの5人の妻たちの優美な合唱(譜例14-1, 2)に、ブロットが加わる。ここは全曲中で一番優美な場面! 彼女たちはエロイーズを先頭に、次々と自己紹介する(譜例14-3)。ブロットは彼女たちを扇動し、小太鼓と撥のリズムに乗って、自由になり復讐しようと歌いだす(譜例14-4)。最後に皆はシンバルとタンバリンを鳴らして踊りまくる。




オッフェンバック青髭譜例4
第3幕:ボベーシュ王の宮殿、真夜中、結婚の場。
前奏(譜例15)、12時の鐘が鳴り、廷臣たちに先導され、正装したサフィールと、ウェディング・ドレス姿のフルーレットが登場、皆が祝いの言葉をのべる(合唱)。ふいに現われた青髭は、結婚式を止めるよう命ずる。自分は1時間前、城への帰途に新妻を失ったから、フルーレット姫をよこせという(譜例16-1)。彼には強力な軍隊が控えている=トランペット、シンバル、太鼓を伴う勇壮な行進曲(譜例16-2)。サフィールが青髭に決闘を挑み、王は決闘の勝者に娘をやると言い、皆が応援するが、サフィールは倒される。前奏の音楽のうちに、フルーレットは泣きなき青髭に手をとられ、皆は祝福しながら退出する。

独り残されたオスカーのもとに、ジプシーに変装したポポラーニが入って来て、ブロットを含め、青髭の妻たちはみんな生きていると言う。オスカーも実は自分も、処刑を命ぜられた5人の若者を、地下室にかくまっていたと漏らす。

王様が姿を見せたとたん、タンバリンを打ち鳴らしながら、ジプシーの一団が入ってくる(譜例19)。占い女(譜例18)は、王様と青髭の手相を読み、彼らの旧悪を暴く。驚く二人の前でジプシーたちが仮装を脱ぎ捨てると、彼らは王と青髭に殺されたはずの男女5組と、ブロット(占い女)だった。二人は前非を悔い、この5組の男女、息を吹き返した王子セフィールとフルーレット姫、それに青髭とブロットが結ばれ、第1幕序曲C、Eの旋律を交えた、皆の歓喜の合唱でフィナーレとなる。

参照CD:Troy 993 Albany、
M.ボロヴィツ指揮オハイオ・ライト・オペラ(英語版)

注:フランス語版、ドイツ語版、英語版それぞれ、内容や歌う役などに異同がある。
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[ 2008/06/08 18:42 ] 音楽解説(一般) | TB(-) | CM(-)



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