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レズニチェクのオペラ「青髭の騎士」Ritter Blaubart

青髭(レズニチェック)
1)作曲家について
オペラ「ドンナ・ディアナ」序曲で有名な、レズニチェクEmil Nikolaus von Rezniček(1860ウィーン~1945ベルリン)の先祖はボヘミアらしい。祖父は軍楽隊長、父親ヨゼフ男爵は野戦軍将校、母親クラリスはルーマニア王家の出だった。レズニチェクは少年時代ピアノなしで作曲し、ヴェルディやワーグナーの管弦楽曲に興味を抱いていた。

グラーツで法律を学ぶかたわら、ブゾーニやワインガルトナーを弟子に持つ、W・マイアー(1831プラハ~98グラーツ)に音楽理論を学び、さらにライプツィヒ音楽院でライネッケとヤダスゾーンに師事、在学中から小劇場で指揮台に立っていた。

彼は1888~95年の間、プラハ軍楽隊長職にありながら、新設間もない新ドイツ(元スメタナ、現プラハ・オペラ)劇場の作曲家として活躍、オペラ「オルレアンの処女」(1886)、「サタネッラ」(1887)、「エメリヒ・フォルトナト」(1889)を作曲、とくに1894年当地で上演された「ドンナ・ディアナ」は好評を博した。

その後ワイマール、マンハイムで活動、1902年に家族とともにベルリンのシャルロッテンブルク区に居を構え、R・シュトラウス、プフィツナーと親交を結んだ。1906年に破格の高額でワルシャワのオペラ座とフィルハーモニーの指揮者に迎えられ、1909年にベルリン・コミッシュ・オパーの指揮者となった。第一次世界大戦中は、交響曲、交響詩、オペラなど多くの作品を書いていた。

戦後の1919年、芸術アカデミー会員に選ばれ、1920年から26年まで、芸術大学で作曲と管弦楽法を教えていた。その後は作曲に専念、1934年R・シュトラウスの薦めで、14ヶ国からなる国際作曲科連盟(1942年に消滅)のドイツ代表となり、著作権の擁護に献身した。長期の闘病ののち1945年8月2日死去し、シュターンスドルフの森墓地に埋葬された。

2)オペラ「青髭の騎士」作曲経過
こオペラの構想は、1915年に妻のベルタから、H・オイレンブルク(1876~1949)の劇(1906年初演)を薦められたことに始まる。彼はただちに原作者と会って原作をオペラ用に改訂してもらい、その結果、最初と最後の各2幕を1つにまとめ、各所でカットが行われ全3幕となった。R・シュトラウスは当初からこのオペラに注目していた。この台本に描かれている青髭は、女たらしのドン・ファンというより、エゴイスティックで血に飢えた殺人鬼で、盲目の召使や二人の墓泥棒を配している点でも特異である。

初演は1920年1月29日、M・バリングズ指揮ダルムシュタット国立劇場で好評裡に行われた。1919年にウンター・デン・リンデン国立オペラ劇場支配人となったシリングズ(1868~1933)は、現代音楽の紹介に力をいれ、翌1920年にはR・シュトラウスの「影のない女」、シュレカーの「烙印を押された男」、ブゾーニの「トゥーランドット」を上演した。同年10年31日にはレオ・ブレヒの指揮でレズニチェクのこのオペラがベルリン上演された。その後、6年間このオペラは当地で27回続演された。

3)あらすじ
登場人物:青髭の騎士ライナー(バリトン)
盲目の召使ヨシュア(テノール)
伯爵ニコラウス (バス)
息子ウェルナー (テノール)
娘 ユディット (ソプラノ)
同 アグネス (ソプラノ)
神父 (バス)
墓泥棒ヒンツ (バス)
同 ラッテ (テノール)

青髭の騎士は、ワスゲンワルトの秘密めいた城に、盲目の召使ヨシュアと住んでいる。だいぶ前、旅から帰った彼は、唯一の友人が妻と抱きあっているのを見て、彼を射殺し妻も恐怖のあまり死に絶える。その後、青髭は5人の妻を娶るが、いずれも不実を理由に殺してしまった。彼女らの首は城の地下蔵に並べられていた。

ある日ニコラスとヴェルナー伯爵父子は、青髭の客となる。青髭は返礼に、美しい二人の娘がいる伯爵の城に招待され、楽しい数日を過ごす。姉のユディットは青髭に一目ぼれし二人は結婚する。楽しい数週間が過ぎたある日、青髭は、城のすべての鍵を新妻に与え、金の鍵の部屋だけは開けてはならぬと言い残して旅に出る。

しかしユディットは誘惑に負け、禁断の部屋を開け、かつての妻たちの首を見て驚き、鍵を床に落としてしまう。鍵についた血はいくら拭いても落ちない。旅から帰った青髭は、召使ヨシュアが止めるのも聞かずユディットを殺してしまう。ユディットの死因を知る者はだれもいない。二人の墓泥棒は首のない彼女の遺体を見て驚き逃げ去る。

妹のアグネスも青髭の甘言に逆らえず、青髭の城に向かう。耐え切れなくなったヨシュアは、彼女を救うため森に火を放つ。これを見た青髭はこれまでの殺人を告白し、アグネスはバルコニーから飛び降り、青髭は延焼した城の業火に焼かれ、あとには廃墟だけが残る。

4)楽曲解説
音楽はワーグナー、R・シュトラウス、デュカスなどを連想させる、後期ロマン派風の重厚なオーケストレーションで書かれている。

第1幕:星の輝く夏の夜、青髭の城。ホルンが吹き交わす短い序奏にはじまり、青髭の城にまぎれこんだ伯爵父子は、広く立派だが、盲目の召使ヨシュアのいる不気味なこの城について語り合っている。青髭が登場し、妻を寝取った友人を射殺して庭の池に投げこんだ話をする。R・シュトラウス風の華やかな3連音の音楽が執拗にくり返される中で、テンポが変わり、時折バスクラリネットやヴァイオリン・ソロのパッセージが入る。客人は青髭とグラスを交わす。

間奏曲1:悪魔的なフォルティッシモと、弱奏ピアノの叙情的部分が交互に何度も現われる。前者には低音域でうごめく旋律と、コラール風和音進行が見られ、後者ではヴァイオリン・ソロや、ショパンの歌曲「乙女の願い」冒頭に似た旋律が見られる。客人が去ったあと青髭は、ヨシュアに松明を持たせ、地下の穴倉に入り、過去の妻たちの頭をたしかめる。それから上下する4音(ドミドシー)の音型のあと、かつての妻=ビアンカ、マリア、ベアトリース、レオノーラらに思いを馳せ、その名前を呼びながら、ウィンナ・ワルツ風の音楽に合わせヴァイオリンを弾く。

間奏曲2:青髭とユディットの結婚の宴。デュカスの「アリアーヌと青髭」の“紫水晶の部屋”に似た華やかな音楽が奏でられ、メンデルスゾーンの「結婚行進曲」の旋律が、重々しく引用されている。白い髭を生やした小人に変装した妹のアグネスが、祝福の歌を歌う。式の最中に新郎新婦が庭へ出てしまったので、神父はこんな結婚式を見るのは初めてだと嘆く。父親の伯爵(バス・クラリネット)もこの結婚に乗り気ではなかった。ユディットは兄のウェルナーと、幼い頃を思い出しデュエットする(叙情的なヴァイオリンのオブリガート)。やがてシンバルを交えたトゥッティのフォルティッシモのうちに、青髭はユディットを連れ去る。

第2幕:夏の夕暮れ近い青髭の城のテラス。ねぐらに帰る小鳥が囀り、波打つ庭の池を眺め物思いにふける青髭は、かつて射殺した友人ロデリヒの幻を見る。フルートに乗ってユディットが登場、青髭への愛、はじめは恐かったが、今は無上の幸を感じていると歌う(ヴァイオリン・ソロ)。青髭は突然、旅に出ると言い出し(金管の荘重なコラール伴奏)、城内のすべての鍵を渡すが、金の鍵の部屋だけは開けるな、と言い残し出立する。ユディットはリュート(ギター)を手に、独り淋しくアリエッタ「夜になるといつも、思いはあなたに・・Nachts muss ich oft dein denkenn・・」を歌う。ヨシュアは小鳥の囀り(木管のトリル)を聞きながら、よく歌っていたビアンカを思い出し、だれも自分を慰めてくれないと嘆く。突然ユディットの叫び声(フォルティッシモ)が響く、金の鍵で禁断の部屋を開けてしまったのだ! 不安げに青髭が森を通って城に帰ってくる。彼はヨシュアの嘆願も聞き入れず(二重唱)、ユディットの命を奪う(ヴァイオリン・ソロ、この殺人は台本には明記されていない)。音楽は間奏曲をはさみ、ティンパニの轟き、金管の咆哮、減7和音上下動、奔馬調のトゥッティで高鳴る。外に出た青髭は月明かりのもと、渇えた野獣のように城の前の泉の水を飲む。あたりは静まり幕がおりる。

第3幕:伯爵家父祖伝来の墓地前の広い庭。晩夏の夕暮れ近く。召使たちがユディットの棺を担ぎ、後に神父、伯爵、ウェルナー、アグネス、青髭が続く(クラリネットの旋律、葬送行進曲)。「肉体は滅ぶとも霊魂は天国で花開く。最後の審判の日、神の前では・・」と神父が唱える。

弦主体の音楽に乗って、ユディットとの少女時代を回想するアグネスのアリア(ヴァイオリン・ソロ、フルート)につぐ、青髭との二重唱。二人の墓泥棒がコントラ・ファゴット、フルートの上下動で登場。ワルツ風のスケルツォ、弦のピチカート、タンバリンなどを背景に、悪者のくせに聖人の名前を唱えたりする。

間奏曲:低音の唸り、木管のみのパッセージ、劇的な部分とメロディアスな部分などが交互に現われるアマルガムである。トロンボーンの唸りについで、このオペラで一番の聴き所、ヨシュアが3拍子でもう我慢ならぬと、悪魔的なアリア「炎よ燃えろGl醇・’ Feuer!」を歌い、燃えさかる薪を手に森に走る。

次のアグネスと青髭の対話は、弦主体で静かに始まり、コラール伴奏やヴァイオリン・ソロのパッセージを経て、アグネスが「森が燃えてる!」と叫ぶと、青髭はユディットを含む6人の妻の虐殺を告白し、音楽は激しくなる。アグネスはバルコニーに出て、後ろ手にドアを閉め、青髭が強引にそれを打ち破ると、身を翻し下に飛び降りる。

ついに青髭のアリア「わが身を灰と焼き尽くせVerbrenn’ mich zu Asche!」となり、めらめらと燃える炎の中、彼は「太陽のもとへZur Sonne!」と歌い猛火に包まれる。最後は木管のトレモロの上でヴァイオリン・ソロが奏でられ、すべては昇華される。

参照CD:cpo 999 899-2, M.ユロフスキ指揮ベルリン放送SO
[ 2008/06/08 18:39 ] 音楽解説(一般) | TB(-) | CM(-)



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