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ヤナーチェク:女声合唱曲集『Hradčanské písničkyフラッチャニの歌』

第一次世界大戦勃発に伴い、モラヴィア教員合唱団(1903年創設)からも、多くの団員が戦場に向かった。そこで指揮者のヴァッハFerdinand Vach(1860~1939)は、女性団員を分離して、モラヴィア自教員合唱団を創り、彼女らのために矢継ぎ早に、1月25日「狼の足跡」、2月1日この「フラッチャニ三部作」、2月12「カシュパル・ルツキー」を書いた。後のオペラ『ブロウチェク氏の旅,第2部の台本作者:プロハースカF.S.Procházka(1861~1939)の詩によるこの三部作では、古えのプラハ城の栄光と、その周辺を懐古し、苦しい大戦中の人々に相互愛を喚起している。基本的には4部(SSAA)無伴奏だが、第2曲にフルートのトリル、第3曲に短い前奏も含めハープ和音が効果的に使われている。第1曲は1916年、第3曲は1918年に歌われ、全曲初演は19123年プラハ女教員合唱曲団(1904年創設)により行われた。

1)Zlatá ulička 「黄金の小径」*1

Žlutý, modrý, Šedý domek jako hračka dětská,
v zátiší to nezalehne žádná vlna světská.
黄色や青や灰色の家 まるで子供のおもちゃのよう、
この静かなたたずまいに 人波の押し寄せることもない。

Proužek nebe v domků tlumy probleskává šeře,
ve hlubině z dálky šumí ze příkopu keře.
家並みの間からのぞく空の帯は 薄暗く輝き、
遠い鹿の谷*2の深みで 潅木がざわめく。

Nebylo zde nikdy zlata v stínu těch dvou věží,
a jen stopy hořkých smutků v tlusté hradbě lěží.
ここに黄金などなかった この二つの塔*3が影を落とす所には
苦い悲しみの跡だけが 厚い城壁の中に横たわる。

A vše co kdy osiřelo, jak by sem se sběhlo,
a kde palác zvedá čelo, na práh mu to lehlo.
かつて見捨てられたものすべてが、ここに集まってるかのよう、
宮殿がすまして立つ足元に、それらは横たわっている。

Na dva kroky od té bídy nádhery co skvělé,
ale taky zadumané, taky osiřelé.
この貧しさから数歩出れば 目もあやな眺め!
だがこれとても 物思いにふけり 孤独である

Víš-li, chudá uličko ty, že tam tráva pučí,
zlaté jizby, síně širé, že jsou ještě chudší?
知っているのか、哀れな小径よ、そこには雑草が生い茂り、
黄金の部屋も広間も、なおみすぼらしくなっているのを?
注;
1:プラハ城東北端、白塔からダリボルカ塔までの小路、ここに狙撃兵が常駐しており、
その中に金細工師もいたので、これが誤って錬金術師といわれ、この小道の通称となった。
2: プラハ城北側裏手の空壕で、昔は鹿などの動物が飼われていた。
3:入口の白塔と突当りのダリボルカDaloborka塔
黄金の小径


2)Plačící fontána「むせび泣く噴水」*

K sladké písní slavíka, slyšte, jak naříká,
spadlá ke krůpěji krůpěj, jako slz` veliká.
ナイチンゲールの甘い歌に合わせ お聞き、噴水の嘆くを、
大粒の涙のように、一粒づつ落ちる音を。

Nezvoní, jíž nezpívá, fontána plačtivá,
se spěžové misky vzdechem  slza se odlívá.
音も響かせず、もはや歌いもせぬ、むせび泣く噴水は、
ブロンズの水盤から ため息まじりに涙がしたたる。

Slysěti je každý den její vzlyk a její sten!
V zahradě jen přistup blíž, v šerém houští utajen.
いつの日も聞こえる そのすすり泣きとうめき声は!
も少し近づいてごらん、繁みに隠された庭で。

Když kol ticho jako hrob, když zvon dozněl beze stop,
v zahradách cos rozvzlyklo se, a vzlyk ten žhne do útrob.
あたりが墓のように静まり、鐘の音が跡形もなく消えるとき、
庭の中で何かがすすり泣き、その声は、はらわたに沁みわたる。

Žlutým listím postlána  nad čím pláče fontána,
po čem vzdychá usedavě od večera do rána?
黄に色づいた落葉を浴びて 何を泣くのか噴水は、
なぜに痛々しくため息をつく 夕べから夜明けまで?

Pohádka šla zahradou s družinou svou královskou,  
u fontány plesávala, zašla, zhasla s krásnou svou.
物語は庭を通っていってしまった。王様のとりまきといっしょに、
噴水のほとりで踊り歌い、美しさとともに行き過ぎ、消え去った。

Zašla, chtěla nechtěla, touha její dozněla,
pro ni tiché slzy kanou, pohádka ta ulřela!
過ぎ去った、なすすべもなく、その望みも消えうせた、
それ故に静かに涙はしたたり落ちる、物語は息絶えた!

注;
ベルヴェデル離宮前庭にある。水滴が金属盤に当る音から命名。皇帝(1564年死去)の注文
は1562年.デザインはテルツィオFrancesco Terzio(1523ベルガモ~91)が、鋳造はヤロシTomáš Jaroš(1500ブルノ ~71)が、柱の胴体を飾る神話の人物や、頂上にバグパイプ吹き小像(元は二羽の雌鷲)は、弟子のクシチカVavřinec Křička z Bítyšky(☨1570)らが作った。ブロンズ (94%銅, 6% 錫)の総重量は約5000 kgで、完成は1568年、水が引かれたのが1573年だった。なお周囲の庭園には中欧で初めてチューリップが植えられた。
むせび泣く噴水




3)Belveder「ベルヴェデル離宮」*1

Kamenná báseň v květné houšti, zelený smaragd v prstenu!
Lípa kol nízké větve spouští, stříbrných plné pupenů.
花咲く繁みの中の石の詩、指輪の緑のエメラルド!
菩提樹はあたりに低い枝を垂らす、銀の蕾をいっぱいつけて。

Hymnický pozdrav věčné krásy, vypjatým jásá obloukem.
Chrtů pár sivých jak hrá si ve skocích travným paloukem.
永遠の美の賛歌を、ひどくしなったアーチで歌い上げる。
灰色のボルゾイ犬が二三匹 緑の芝生をかけめぐ。

Akordem harfa v sladkém roztoužení, zahradou tisě zazněla,
do strum to sáhla v sladkém snění pravnučka rodu Jagella.
甘い恋歌にあわせ竪琴は 庭園に静かに鳴り響く、
夢見がちに弦をつまびくは ヤギェウォ家*2の孫娘。

Tóny se linou šepotavě, jak by kohos vábily.
A květy rudé pučí žhavě do sněné krásné idyly.
琴の音はささやき流れる、だれかを誘なうかのように
赤い花は燃えるように咲き誇る 夢のように美しい牧歌の中に。

Leč báseň klame. Tak být mělo. Královno, kdes zůstala?
Mrtvé zde leží tvoje tělo, a harfa darmo, darmo čekala.
だが詩は裏切る。致し方ない。王妃よ、どこにいるのか?  
むくろとなってここに横たわり、竪琴はむなしく待つばかり。

A věže tvrdé za příkopem strmě se poblíž zdvíhaj
A okénka v mřížích, děrou stropem buřiči v hlubeň padají.
壕の向こうのがっしりした塔は 迫るように聳え立つ、
そして格子窓、天井穴から 反逆者*3らが落ちたところ。

A jejich kletby, jejich stony v z`hradu drsně zalehnou,   
přehluší, harfo, tvoje tóny. Ach, požáry vůkol vzplanou.    
彼らの呪い、うめき声は 不気味に庭にこだまする、
竪琴よ、お前の音はかき消され、 ああ、あたりに炎が燃え上がる。
Budou se nové děje kouti a bratr bratra s trůnu rve.
V útulku lásky koncem pouti, šílený král lká hořd své.
新たな事件の機が熟し、弟が兄*4の王位を奪う。
愛の隠れ家で放浪の末 狂える王は己が悲運を嘆く。

Oj, přiletí vichry, bouř vše rváti započne kolkol příšerná.
Ty, ty budeš státi, kamenná básni nádherná!
ああ、強風がきて、恐ろしい嵐が*5あたりのすべてを吹き散らす。
だがお前はずっと立っていよう すばらしい石の詩よ!

Stavěla láska tvoji pýchu tesala krásu v kameny,
co jinde drtil českou líchu běs hněvu divě zjitřený.
愛がお前の誇りをうち立て、美しさを石に刻んだ、
さるほどにボヘミアの野を たけり狂う悪霊*6がひきさいた。

Och, kdyby láska jenom žila, jdouc krajem s přízní zraku,
ubohá země, kde bys byla, co by bylo zázraků!
ああ、愛だけが生き、ひたすら国中をめぐっていたら、
あわれな祖国よ、お前のいた国に、多くの奇跡も起きたろうに!

注;
1、聖ヴィート大聖堂裏手、王宮庭園東端に1538~63年間に,ハプスブルクのフェルディナント一世(1503~64)が、2度目の妃ポーランド出のアンナ(1503~47)のために建てさせた。
現在は文化展示場や、宴会場として使われている。 bel(美しい)+vedere(見る)=展望台
2、ポーランドのヤギェウォ家開祖ヴウァディスワフ二世(1456~1516)
3、スメタナのオペラの題材となった中世の騎士ダリボルDalibor z Kozojed(1498年処刑)や、ビーラー・ホラ敗戦主導貴族ら(1621年旧市街広場で公開処刑)。
4、マチアーシ王(1557~1619)は1611年に、狂える兄王ルドルフ二世(1552~1612)を廃位。
5、ビーラー・ホラの戦い。
6、上に続く三十年戦争。
ベルヴェデル離宮
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[ 2016/11/08 22:50 ] 音楽解説(チェコ音楽) | TB(-) | CM(-)

ヤナーチェク:コンチェルティーノ

木管六重奏曲「青春」についで、青春の思い出として、1925年11月24日プラハ・ヴィノフラディ劇場での公演に備え、ヤン・ヘシュマン(1886~1946)の家で行われた、「消えた男の日記」リハーサルで伴奏をした、彼の演奏に感動して作曲、彼に献呈された。

1925年4月23日カミラ宛の手紙には「ピアノ協奏曲を書いた。これは“春の組曲”ともいえるもので、そこには甲虫や鹿やコウロギや渓流が登場します」と記されており、“利口な女狐”と共通点を持っている。フクワルディで4月29日に書き上げた。
初演は作曲家臨席のもと、1926年2月16日ベセドニー会館におけるモラヴィア作曲家集団のコンサートで、I.クルゾヴァー、Fr.クドラーチェク、J.イェドリチカ、J.トルカン、St.クルチチカ、Fr.ヤンスキー、J.ブジーザにより行われ、4日後にはプラハでも取りあげられた。その後、1926年11月にウィーン、1927年3月7日ドレスデン、6月29日フランクフルトでの第5回現代国際音楽祭で演奏され好評を博した。

楽器編成は:ピアノ、ヴァイオリン2提、ヴィオラ、Es管クラリネット、ホルン、ファゴットで、陽気な雰囲気は次作の「韻踏み歌Říkadla」を先どりしている。

第1楽章:ホルンとピアノの二重奏。モデラート、ト短調、4/4拍子~ピウ・モッソ、ルバート、6/4拍子。最初ピアノで示される主題(g, h, b, cis, d, g, cis-b, d, g )はジプシー旋法によっている。ホルンは3度で上下する8分音符2+4分音符1「・・-」という、森の木霊のような音型の反復。ヴィヴォ~テンポIで終わる。

第2楽章:クラリネットとピアノの二重奏で、ピウ・モッソ、イ短調、6/8~2/4~6/8~2/4拍子、イ短調ピアノ和音進行とクラリネット・トリル4回の交代に次いで、クラリネットにヘ短調主題が出て、さまざまに転調して進行する。中間部のポコ・メノ・モッソ、3/16~6/16~2/4拍子では、クラリネットおよび右手ピアノのトリルと、左手ピアノのアルペッジョ上下動が対比され、テンポIで冒頭部分が回帰し、プレスト~プレスティッシモとなり、.最後の5小節に弦とホルン、ファゴットが入る。

第3楽章:コン・モト、2/2拍子、ピアノが刻む反復4音型(a. gis. f. g.)と、1小節毎に他楽器がアクセントをつける行進曲風のパッセージは、4/4, 1/2拍子が交代するポコ・メノ・モッソで、ピアノとクラリネットのアルペッジョ上下動に移り、郷愁をそそる旋律を奏でる。ヴィヴォのピアノ・カデンツァを経て、ピウ・モッソとなりアタッカで次楽章へ。

第4楽章:アレグロ、2/4拍子、弦の和音とピアノの下降8音による、1小節の休止をはさむパターンで始まり、ヴァイオリンがピチカートになると他楽器が入り、ピアノにイ長調下降主題が提示され、執拗にくり返される。
管に第1楽章のホルン音型が示され、ピアノとの組合せは、さまざまに変化する。プレスト、4/4~5/8拍子はほぼピアノの独壇場で、ピアノ・ソロに始まるヴィヴォでは、高音弦がトリルを長く伸ばし華やかに終止する。
[ 2016/11/08 22:48 ] 音楽解説(チェコ音楽) | TB(-) | CM(-)

ヤナーチェク:ヴァイオリンとピアノのための「ドゥムカ」

ライプツィヒ留学中のヤナーチェクの作品には、ソナタを含むピアノ小品、歌曲に加え、ヴァイオリンとピアノのための小品もあり、数曲の「ロマンス」に次ぐ「ドゥムカ」は1880年の早い時期に作曲され、1885年3月8日ブルノ・オルガン学校で、ソボトカJ. Sobotkaと作曲者により初演された。dumkaはdumaの縮小形で、16~17世紀にコザックの間でバンドゥーラ伴奏で歌われた、ウクライナのバラッド(エレジー)と言われ、ボヘミアへはユングマンJosef Jungmann(1773~1847)により紹介された。
[ 2016/11/08 22:46 ] 音楽解説(チェコ音楽) | TB(-) | CM(-)

スーク:夏の物語(夏のおとぎ話)Pohádka léta op.29(Hudební báseň pro velký orchestr大オーケストラのための音楽詩)

ボヘミア(チェコ)弦楽四重奏団の第2ヴァイオリニストとして、創立1891年から解散する1933年まで、主に国外で演奏活動していたスークにとり、夏休だけが自然豊かな故郷クシェチョヴィツェ村で、創作に専念できる機会だった。1907年、国外演奏旅行から帰った彼は、ゼイエルの劇「ラドゥスとマフレナ」の国民劇場新演出用に、1897/ 98年作の同名メロドラマop.13の改訂にかかり、その第3幕にハープ伴奏のイングリッシュ・ホルン・二重奏を新たに加え、『夏の物語』に引用した。全体の構想は1907年7月から1ヶ月半で練られ、直ちにオーケストレーションにかかったが、多忙なため脱稿したのは1909年元旦だった。ここには義父ドヴォジャークと愛妻オティリエを、あい次いで失った衝撃からようやく立ち直り、美しかった過去への思い出と、未来への希望がこめられている。

初演は1909年1月26日、コヴァジョヴィツ指揮チェコ・フィルによりルドルフィヌム会館で行われ、彼に献呈された。ウィーンでは翌1910年11且24日、ネドバル指揮トーンキュンストラー楽団により初演され、チェコ芸術アカデミー賞を授かった。

楽器編成:
Fl.3(Picc.),Ob.2, Cor angl 2, Cl. 2, BCl, Fg.2, CFg, Hr.6, Trp.3, Trb.3, Tuba, Timp. Tgl, タムタム、シンバル, 大太鼓、(オルガンad lib.)、ピアノ、チェレスタ、ハープ2、弦5部。
演奏時間:約50分:I=14分、II=6分、III=5分、IV=11分、V=15分
(ペシェク指揮、チェコ・フィル1984年録音LP盤)


第1楽章「Hlasy života a útěchy人生と慰めの声」:
アンダンテ・ソステヌート、4/4拍子。ホルンの持続イ音と、コントラバス和音進行による序奏(譜例1)に次いで、4度上昇3音に始まる主題(譜例2)がオーボエと弦で提示され展開、アレグロ・アパショナートとなって高揚、ファンファーレに至る。アンダンテに入り、イングリッシュ・ホルンにはじまる副主題(譜例3)は全曲の核をなすもので、のちの楽章にしばしば引用される。これらがテンポを変えて様々に展開され、最後はハープの下降アルペッジョを伴う、抒情的なヴァイオリン・ソロ挿句などを経て静かに終る。

夏の物語譜例1

序奏(譜例1)は前作ピアノ曲集『母さんのこと O matince』(全5曲)op.28(母を失くした3歳の息子に捧ぐ)第4曲「母さんの心臓」の冒頭と同じ音型。
主題(譜例3)は、ゼイエル劇への付随音楽『リンゴの樹の下でPod jabloní』op.20、第6景:ダニツァの歌「暗い影がまどろむ森の上に落ちる」に由来。


第2楽章「Poledne 真昼」稔りの夏の太陽賛歌:
モデラート、2/2拍子。弦sul ponticello 3点ロ音トレモロ・オスティナート+ホルン低和音進行のうちに、ピッコロとバスクラリネットがユニゾンで、主題(譜例4、譜例3の変形)を奏でる。ついでトランペット経過句(譜例5)から、トロンボーンなどの管楽コラール副主題(譜例6)へと移行してゆき、最後この副主題をオーボエが奏でる。
夏の物語譜例2

第3楽章「Slepí hudci 放浪の盲目楽士」=Intermezzo 間奏曲:
アダージョ、9/8拍子。2台ハープ・ヘ短調主和音アルペッジョ・オスティナートに乗って、イングリッシュ・ホルン・二重奏(譜例7)が、東洋的な鄙びた主題を延々と奏でてゆき、終り近くヴィオラ・ソロ+ヴァイオリン・ソロ・二重奏が加わる。
スークは幼い頃から、ヴァイオリン+ハープ編成の、盲人を含む放浪楽士を讃えていた。
夏の物語譜例3

第4楽章「V moci přeludů 幻の力の中で」現実と幻想・夢との葛藤:
幻想的スケルツォ。アダージョ、4/4拍子。弱音器つき弦のトリル(譜例8)、バスクラリネットが唸る序奏についで、ヴィヴァーティッシモ、3/8拍子、付点音符つき奔馬調主題(譜例9)が提示される。さらにトランペットがグロテスクな副主題(譜例10)を奏でてゆき、これらは打楽器が活躍するフガートとなって展開される。アンダンテに入り、第3主題(譜例11)は、クラリネットに始まり、弦にひき継がれ叙情的に推移し、木管が16分音符で上下に飛びまわり、打楽器も加わり高揚する。ヴィヴァーティッシモ主題が戻り、最後はハープのピチカート、チェレスタのアルペッジョが微かに鳴り、第1楽章副主題(譜例3)が回想される。
夏の物語譜例4

第5楽章「Noc 夜」夜の神秘的静けさ:
アダージョ、3/4拍子。低音ハープによる第1楽章の4度上昇音型導入後、嬰ヘ長調和音進行主題(譜例12、譜例3の変形)が、弦で提示され、低弦ユニゾン音型(譜例13)からは、ティンパ+オルガンが低いニ音を鳴らし続ける。やがて弦のコラール副主題(譜例14)となり、旋律は半音階的に流れ、叙情と激情が交錯、時折ヴァイオリン・ソロを交え展開してゆく。最後に高音弦がトレモロを奏で続けるうちに、第2楽章副主題(譜例6)が木管で回想され、ピアノ・オクターヴ低単音も加わり、チェレスタとハープ・アルペッジョ上向3和音が反復され、D6和音で静かに消えてゆく。
夏の物語譜例5

夏の物語譜例6

主題(譜例12)は、師ドヴォジャーク1877年作の「交響変奏曲」op.78, B.70の主題を連想させる。
[ 2014/06/22 13:44 ] 音楽解説(チェコ音楽) | TB(-) | CM(-)

マルチヌーの「カンタータ花束 KYTICE 」 H.260 (2/2)

歌詞対訳
2)Sestra travička 毒を盛る姉

Uliana, čistá panna, 清い乙女のウリアナが
u Dunaja šaty prala. ドナウの岸辺で服洗い。
Viděla tam štyry pány, そこで目にした4人の男、
mezi nima dva hulány. 中の二人は槍騎兵。

Pojed‘ , děvče, pojed‘ s námi ! 一緒に行こう、娘さん!
Budeš vědět, jak se mámy ! おいらの暮らしを見せてやる!

Já bych s vámi ráda jela, 行きたいのは山々だけど
kdybych tu bratra neměla ! 弟の世話をしなくては!

Bratra můžeš otráviti, そんな奴には毒を盛り、
můžeš s námi předca jeti. 一緒に行こう。
.
Běž do lesa jedlového, モミの林へつっ走り、
zab‘ tam hada jedlového.. 毒蛇を殺し、
Uvař mu ho k snídaníčku, そいつを飯に入れるんだ
jak rybičku s černú máčkú ! 魚みたいに黒ソースかけて!

Už Janíček z hory jede, ホンザが山から下りて来る、
malované dřevo veze. 薪を馬に山と積んで。
Hned mu vrata otvírala, 姉は急いで門を開け、
vrané koně vypřahala. 黒い馬をつないでやった。

Uliánko, co nového, 姉さん、どうしたの、
že vypřaháš koně mého ? ぼくの馬を繋いだりして?

Pojd‘, Janíčku, k snídaníčku, さあ、ご飯よ、
máš přichystanú rybičku. 魚料理を作ったの。

A co sú to za rybičky, これがお魚、
vždyt‘ nemá žádná hlavičky ? 頭がないよ?

Hlavičky jsem usekala. 頭は切って
pod okénko zakopala. 窓の下に埋めたの。

Jak ten první kousek snědl, ホンザが一口食べたとたん、
hned na levé líčko zbledl. 左頬が蒼くなった。
Jak ten druhý kousek snědl, 二口目を食べたとたん、
hned na obě líčka zbledl. 両頬から血の気が失せた。
Jak ten třetí kousek snědl, 三口目を食べたとたん、
hned na celé tělo zbledl. 全身が真っ白になった。

Donesla mu tvrdý kámeň ! 彼女は重い石を持ってきた!
Ostavaj tu spánembohem. O! O! 神様のみもとへ。ああ!

Bojanovské zvony zvoňá, ボヤノフ村の鐘が鳴り。
Uliánku drábi hoňá ! お巡りたちがウリアナを追う!

Ty mutenské sezváňajú, ムトノ村では早鐘が打たれ、
Uliánku doháňájú ! ウリアナは追いつめられる!

A hodonské dozvonily. ホドン村の鐘が鳴りやみ、
Uliánku dohonili ! ウリアナは捕まった!

Janíčka na krchov nesú, ホンザは墓地に運ばれ、
Uliánku kati vezú ! ウリアナは首切人に渡された!

Zazděte mě do kamení, あたしを石壁に塗りこんで、
nech o mně písničky není ! 弔いの歌などいらない!

Zedníci ju zazdívali, 石工たちは女を壁に塗りこみ、
panny písničku skládaly. 乙女たちが歌を作った。

Uliánku už zazdili, ウリアナはもう塗りこまれ、
panny písmičku skládaly. 乙女たちが歌を作った。

Uliánku už zazdili, ウリアナはもう壁に塗りこまれ、
panny písmičku složily. 乙女たちは歌を作りおえた。

4)
Kravarky 牛飼の娘たち
Ej ! Hoja ! Hoja ! エイ!ホヤ、ホヤ!
Tovaryško věrná moja, あたしの親しいお友だち、
pones mně snídaňa, ご飯持ってきて、
Kamarádko moja ! あたしのお友だち!
Ej ! Hoja, hoja ! エイ!ホヤ、ホヤ!

Ej! Hoja, hoja ! エイ!ホヤ、ホヤ!
Tovaryško věrná moja, あたしの親しいお友だち、
už sem posnídala. ご飯もう頂いたわ。
Hej ! Hoja, hoja ! ヘイ!ホヤ、ホヤ!

Hoj ! Hoja, hoja ! ホイ!ホヤ、ホヤ!
Daleko- li paseš ? 遠くまで放牧にゆくの?

Malenky napaseš. マレンカに牛の面倒見させる、
na zelenej trávě, 緑の草地で、
na pěknej otavě ! 美しい二番刈草の上で!
Hej ! Heja, heja ! ヘイ!ヘヤ、ヘヤ!

Malenka sa napije, マレンカは水を飲み、
děvečka sa umyje; 乙女は身体を洗う;
aby byla bílá, 白くなろうと、
pánu Bohu milá, ああ神様、
ne tak pánu Bohu, あなた様のためでなく、
svojemu milému, 愛する人、
synku černookému. 黒目の若者のために。
Hej, Heja ! Heja ! ヘイ、ヘヤ! ヘヤ!

Hej, Hela ! Hela ! ヘイ、ヘラ! ヘラ!
Pěkně ti děkuju ほんとに有難う
za tvé halekání ! 遠くから声かけてくれて !
Že’s na nehněvala. 怒ってなかったのね。
a sa mňa halekala あたしに呼びかけてくれた
Proč bych se hnĕvala, 私が怒っていたですって?
nic mnĕ’s neudĕlala    とんでもありません。
Ani já snad tobě, あたしだってそうよ、
nemáme nic proti sobě. 互いに気心知れてるもん。
Hej, Heja ! Heja ! ヘイ、ヘヤ! ヘヤ!

6)
Milá nad rodinu 家族に勝る恋人

Seděl jeden vězeň, ある囚人が牢に、
stopadesát neděl. 3年もいた。
A tak dlúho seděl, とても長くいたので、
celý ošedivěl. 髪が灰色になった。

První ráz zaplakal, 最初に泣いて、
cedulenku napsal. 手紙を書いた、
cedulenku napsa., それを書いて、
k otcovi ju poslal. 父親に送った。

Můj tatíčku starý, 年とった父さん、
vyplat‘ mia z vězení, 金を払い牢から出して、
z vězení těžkého, この厳しい牢から、
zámku tureckého. トルコの砦から。

Pověz mi, synečku, 息子よ、言ってくれ、
co od tebja ptajú ? 奴らの望みは何だ?
Sto rynských stříbrných, 銀貨百枚に、
ešče tolej drobných. 小銭もたくさん。

Synáčku můj milý, 大事な息子よ、
než to od tebja dám, そんな大金は出せん、
než to od tebja dám, 悪いけど、
radši t’a tam nechám そこにいてくれ。

Seděl jeden vězeň, ある囚人が牢に、
stopadesát neděl. 3年もいた。
A tak dlúho seděl, とても長くいたので、
celý ošedivěl. 髪が灰色になった。

Druhý ráz zaplakal, 二度目に泣いて、
cedulenku napsal, 手紙を書いた、
cedulenku napsal, 今度はそれを、
za mamičkú poslal. 母親に送った。

Mamičko má milá, いとしい母さん、
pomož mně z vězenja ぼくを牢から助け出して、
z vězenja tuhého, この堅固な牢から、
zámku tureckého. トルコの砦から。

Synečku, můj milý, 可愛い息子よ、
co od tebja ptajú ? 奴らの望みは何なの?
Sto rynských stříbrných, 銀貨百枚に、
ešče tolej drobných. 小銭もたくさん。

Synáčku můj milý, いとしい息子よ、
než to od tebja dám, そんな大金ないわ、
než to od tebja dám, 悪いけで、
radši t’a tam nechám そこにいてちょうだい。

Třetí ráz zaplakal, 三度目に泣いて、
třetí psaní napsal, 三度目の手紙を書いた、
za bratříčkem poslal. それを兄に送り、
k setřičce je poslal. 姉にも送った。

Štvrtý ráz zaplakal, 四度目に泣いて、
cedulenku napsal, また手紙を書き、
cedulenku napsal, 今度はそれを
ku svej milej poslal. 恋人に送った。

Vyplat‘ mia, má milá, いとしい君、金を払って、
Vyplat‘ mia z vězenja, ぼくを牢から出して、
z vězenja těžkého, この厳しい牢から、
zámku tureckého. トルコの砦から。

Milá nemeškala, 恋人はすぐさま、
šňůru kupovala, 綱を買い
milému podala. 愛する人に渡した。

Spust‘ se, milý, důle さあ、そこから逃げるのよ、
po hedvábné šňůře, 絹の綱を伝って。

Lepší je má milá 恋人の方がまし、
než celá rodina, 家族の誰よりも、
ta mia vyplatila 金を払い救ってくれた
z Turek od pohana ! 異教徒のトルコ人から。

7)
Koleda Aam a Eva クリスマス・キャロル:アダムとイヴ

Šel jest Pánbůh, šel do ráje, 神様が行く、楽園へ。
Adam za ním poklekaje. アダムはおそれ、ついてゆく。
Jak do ráje přicházeli, 楽園に着くと、
řekl Pánbůh Adamovi: 神はアダムに言った:

Ze všech stromů požívejte, どの木の実を食べてもいいが、
jen jednoho zanechejte, 一つだけはだめだ、
který stojí prostřed ráje, 楽園の真ん中にあり、
modrým kvítkem prokvetaje. 青い花を咲かせてるのは。

Učinil se d’ábel hadem, 悪魔が蛇に姿を変え、
svedl Evu i s Ademem. イヴとアダムを誘惑した。

Utrh‘ jabku velmi prudce 蛇はリンゴをさっと採り
a podal je Evě k ruce. イヴに手渡す。
Jez, Evičko, jez to jabko, イヴ、このリンゴ食べてごらん、
jak ti bude po něm sladko ! とてもおいしいよ!

Eva vzala okusila, イヴはリンゴをかじり、
s Adamem se rozdělila. アダムに分けてやる。
Jez, Adame, jez to jabko, アダム、食べてこのリンゴ、
jak ti bude po něm sladko ! とてもうまいわよ!

Když to jabko okusili, リンゴを食べたとたん、
hned z ráje vyhnáni byli. 二人は楽園を追われた。
Dal jim Pánbůh po motyce 神は二人に鍬を持たせ
a poslal je na vinice. ブドウ畑へ送った。

Jděte, jděte a kopejte, さあ、行って土を耕し、
chleba sobě dobývejte. 自分でパンを得なさい。
Než se chleba dokopali, パンを手にする前に、
dost se oba naplakali 二人は泣きじゃくった。

Ten Adam, je první otec, このアダムが最初の父で
do velké nás bídy doved. われらに大いなる貧困を齎した。
A ta Eva, první matka, このイヴが最初の母で
zavedla nás ubožátka. われらに哀れな子孫を授けた。

8)
Člověk a Smrt 人と死神

Byltě jeden člověk, ある人がいたが、
bylo mu jakkolvěk. 誰も素性を知らなかった。
Šel od role k roli, 彼は畑を見廻り、
hledět na obilí. 穀物の実りを眺めていた。

Obilíčko moje, わが穀物よ、
jak je ono pěkné ! 何と美しい眺めだ!
Je pěkně zelené 青々と
od vrchu do země, 上から下の方まで。

Kterak já tě sežnu, どうお前を刈り集め、
do stodoly svezu ? 倉まで運んでゆこう?

Potkala ho Smrti そこで死神に出会った
na velkej silnici. 大きな街道で。

Co děláš, můj choti, 調子はどうだい、ところで、
mám s tebou mluviti. あんたに話がある。

Jdu od role k roli, 私は畑を見廻りに行く、
hledět na obilí. 穀物の実りを眺めに。
mocný milý Bože, 偉大なるお方よ、
jak je ono pěkné. それはすばらしい眺め。

Zaněchaj obile, 穀物なんかほっといて、
stroj se v rucho bile. 白装束に着替えなさい。
Mám s tebou mluviti, あんたに話しがある、
musíš se mnou jíti. いっしょに来なさい。

Nech mne, milá Smrti, 放っといて、死神さま、
já mám co činiti, 私にはやることが。
dám ti peněz dosti, 金をたくさん上げます、
co můžeš unésti. それで我慢して下さい。

A což mi to zlato, 黄金が何になる、
to kladu za bláto. わしにとっては泥も同じ。

Mám já drobné děti, 私には小さな子たちが、
chci jich spořádati. その面倒をみなければ。

Tvoje drobné děti あんたの幼子は
bude Bůh živiti. 神様が養ってくれよう。

Manželku mám mladou, 私には若い妻が、
komu ji poručím ? あれを誰に託そう?

Tu tvoji manželku お前の妻は
sám Pánbůh opatří ! 神様ご自身がみてくれる!

Zanechej mě, Smrti, 放っといて、死神さま、
až pošlu pro kněze, 神父を迎えに行く時まで、
co jsem v mládí činil, 若気の至りでやった事は、
na oči mi leze ! よく解っています!

Juž tam kněze nechej, 神父などほっといて、
jenom se mnou spěchej, oh ! わしと一緒に急ごう。

Běda mně hříšnému, ああ、私には負債がある、
jsem dlužen každému, 罪深いみんなに、
a nejvíc jednomu, とくにお一人、
Pánubohu svému ! 自分の神様に!

Střelila ho Smrti, 死神は彼を射た、
střelou přeukrutnou. むごい矢で。
A píchla ho v srdce それは心臓に刺さった
převelice těžce. 奥深くまで。

Už ten vtipný rozum, 彼の気さくな考えも、
už mu sloužit nechce. もはや役立たず。

Rozmilí přátelé, 親愛なる諸君、
z toho příklad vemte: これを教訓にするがよい:
Co na mně vidíte, 私に起きた事が、
na sobě čekejte ! あなた方を待ちうけている!

[ 2014/06/22 13:05 ] 音楽解説(チェコ音楽) | TB(-) | CM(-)



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